「初体験・希望編」 第一話
「ここの仕事はあなたに任せるわ。思うとおりにして頂戴。でも大学は卒業して!彼女さんとも交際して結婚してあげて。私はこうして雄介と仕事が出来るだけで十分だし、満足してるの。本当よ・・・母も傍に居るから心配しないで・・・ね?」
「小枝子さんが俺と一緒になってくれないのなら・・・店はやりません!改装しなくていいです。俺は本気です。ミドー楽器店とあなたを幸せにしたい」
「許されないのよ・・・世間はそれほど甘くない」
「許されないのなら許してもらえるようにしましょう。時間かかってもいいから両親は説得します。改めて親に承認してもらって小枝子さんに結婚を申し込みます。それまで絶対に誰とも付き合ったり見合いしたりしないで下さい。お願いします・・・佳恵には自分の人生を見つけてくれるように頭を下げます。決めましたから・・・そうさせて下さい」
「雄介がそこまで私のことを考えてくれるのは・・・何故?解らないの」
「初めに言っておきますが店の話しがあるからそう言ったのではないです。大学がいやになったからそう言ったのでもないです。まして佳恵に振られたからでもありません。自分の人生を小枝子さんと一緒に歩きたいと本心で思ったからです。確かに自信過剰ですが俺がいないとって感じている部分はあります。あんなことがありましたからね・・・年齢のことも、結婚をしていたことも全て承知です。同情からではありません。信じてくれませんか?俺の気持ちを」
作品名:「初体験・希望編」 第一話 作家名:てっしゅう