俺とみこの日常 9話
視点変更 蒼大→みこ
ガバッ
今は午前5時丁度。いい朝だ。
「ーーん?みこ?今何時?」
あたしが起き上がったせいか、まりちゃんが目を覚ました。
「今、午前5時20秒」
「…細かいね、ふぁ~、っていうかまだ早いじゃんか。…寝る」
「あたし、そーくん起こしてくるから」
そう言って、ドアを開く。
…開かない。
何か、誰かがドアを向こうから押さえつけているような感じだ。
「…そーくん?」
返事はない。
「……まさか、優美、ちゃん?」
「?優美がどうかしたの?」
「…いやね、もしかしたらドアの前に、優美ちゃんがいる、かも……」
「こわっ!!」
まりちゃんも起き上がって、こっちに来る。
「優美?」
「……まり、ちゃん…?」
「やっぱりアンタか」
想像通り、優美ちゃんだった。
「優美、とりあえずどきなさい」
「起きるのがつらい」
「何言ってるの。さっさと起きなさい」
さっきからお母さんみたいなまりちゃん。
多分、扱いに慣れてるんだろう。
「だって、足になんか、粘着系な何かが…」
何を言ってるんだろう、あの子は。
「家にそんなものある訳が…」
「………」
「?どうかした?まりちゃん」
「…ごめん、あたしのせい」
何をやってるんだ。この子は。
「?どういう事?」
「いや、ね…、あの…」
こんなまりちゃんは珍しい。初めて見た。
「怒らないから言って?」
「…優美対策で、泥棒用の粘着シートを、ドアの前にしかけてたの」
用意周到。いったいどこからそんな物手に入れたんだろう。
「他にも、色んなトラップを…」
「例えば?」
「窓から入ってこようとしたら、みこの……、パ、パンツを落下させるシステムとか、色々」
「なんだって~!!!」
という声が部屋の外から聞こえてきたかと思うと、
ゴンッ!!
という鈍い音が響く。
ドアを開ける…事は出来ない。
「優美ちゃん?」
返事もない。
……多分、頭をぶつけて気絶かなんかした…。
「まりちゃん、とりあえずそこに正座して?」
抵抗もせず、大人しく正座するまりちゃん。
「まず聞こうか。なんでパンツ落下?しかもあたしの」
「……みこの、みこのパンツあげれば大人しくなるだろうって」
「まあ、優美ちゃんの好きな人は知ってますよ?でも、あなたのでも問題ないでしょう?」
「なんで急に敬語に…」
「質問に答えなさい」
「…その発想はありませんでした」
「敬語はやめてください」
「みこも…」
「あたしがどうかしましたか?」
「すいませんでした」
「…分かってくれればそれでいいの」
「直った、よかった~」
「何が?」
「ああ、いや、気にしなくていいの」
「そう?…とりあえず、この部屋から出よっか」
このまま何時間も部屋にいるのは…。なんかね。
「どこから?」
「どこって、窓」
そう言って、窓を指さす。
「…ごめん、無理」
?
「あたしのパンツが降ってくるだけでしょ?」
「…違うんです。下に、落とし穴(深さ3m)があります」
バカなのか?この子もバカなのか?
「じゃ、どうやって出るの?」
「蒼大さんに起きてもらって、優美をどかしてもらってからですね」
…なんでさっきから敬語?
作品名:俺とみこの日常 9話 作家名:ざぶ