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アイラブ桐生 第三部 第三章 39~40

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 本編に戻ります。

 性悪女が運転する車は、歓楽街を横切ってから
やがて、静まりかえって、物音ひとつしない住宅街の中をくねくねと進みはじめました。
走り始めてから10分くらいの距離でした。
どこにでも有るような、これといった特色も見当たらない小さな住宅の前で停まります。
暗がりの中に、似たような作りの住宅ばかりが立ちならんでいる一角でした。
性悪女の自宅も、ごく普通の建売住宅の一軒家です。



 「遠慮しないで、入って。」


 小じんまりとした玄関に、子供の小さな靴が綺麗に揃えて置かれています。
女の子用でしょうか・・・淡いピンク色の可愛い靴です。


 「こっち。」

 明かりが点いて、部屋のほうから性悪女の呼ぶ声がしました。
物音ひとつしない静かな家の中の様子に、安全そうな気配はしているものの、
さすがに上がリこむのには少し、足にすくみむものがありました。

 「怖くないってっば。
 あなたを取って食べる訳でもないし・・・・
 ましてや、待ちかまえている不良も、やくざも、亭主も居ないわよ。
 誰もいないんだから、安心して頂戴。
 ほら早く。遠慮しないでこっちへ入って」


 そこまで言われると、かえって余計に遠慮をしたくなりました・・・・
正体不明のままの「上がれ」と命令をされても、ただただ怖じけるばかりでした。
性悪お姉さんの玄関先で立ちつくしたまま、なぜか、此処までの展開を
頭の中で忙しく整理をし始めました。
トラックのドアをいきなりこじ開けられた後は、有無をいわせずに、
拉致同然ともいえる強制連行で、ここまで連れてこられてしまいました。


 「ほら、何をしているのさ。子供が起きるから・・
 早く入って、そこを閉めて頂戴な」


 理由はともかく、そこまで言われると、もう覚悟を決めるしかありません。
促されて部屋に入った瞬間、その様子に驚きました。
食卓の上には、酒と肴の支度がしっかりと整っていました。
いつでも食事がはじめられるように、手造りと思われる大人二人分の
食事の用意が、きっちりと整っていました。