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イエノオキテ(5/12編集)

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 ある郊外の住宅に、祖母、両親、姉弟が住んでいた。至って一般的な家庭。……その家は必ず最初に生まれた子供が継ぐことになっていた。
 性別は関係なく、早く生まれた順だ。さらにちょっと変わっていたのは、その家庭は家と一緒に、可愛らしい女の子の人形と鬼のぬいぐるみが継がれたこと。

「それがなぜかって言うのは後で話すからちょっと保留ね」

 とりあえずその家の人達は祖母以外、どうしてそれが受け継がれてきたか、知らなかった。その人形の唯一分かっていることは、

「絶対にその人形とぬいぐるみを粗末にしてはならない」

 それだけ。埃を被せちゃダメ、綺麗な布で拭く、落とすのなんてもっての他。
 そんな風に扱われてた人形とぬいぐるみは、いつからきたのかは分からなくても、いつも新品同様だった。
 ある時、家族全員が家を出なくてはいけなくなった。詳細はしらないが、とりあえず人形を持っていくこともできず、短期のハウスキーパーを雇った。

「くれぐれも粗末に扱わないで」

 何度も念を押されたハウスキーパーは、しばらくはひやひやしながら掃除をしていたが、数時間経つと、ついうっかり人形の方を落としてしまった。しかし別に壊れたようなところはなかったから、ハウスキーパーは無かったことにしようと思って、また元の位置に戻して知らんぷりをしていた。
 家族が帰ってきても、誰も気がつかなかったらしい。
 それからしばらく経ったある日。

「私の娘がいなくなった」

 その家族に、ハウスキーパーの家族から連絡が来たんだ。

「何か御存知ありませんか」

 訊かれた時、家族全員の背中がサッと冷たくなったらしい。何も知らないはずなのに、両親や子供達は何か悪いことをした気になって、私も探そうと言い出した父親は、近くの森へ入っていって、七日間行方不明になった。
 八日後に帰ってきた父をみんな喜んだが、何よりも彼の母親のが特別安心していた。

「血の臭いがしないわ」

 怪我の有無ではなく、その一点を。