小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

アイラブ桐生 第三章 36~38

INDEX|5ページ/15ページ|

次のページ前のページ
 


 悦子さんと名乗るママさんが、
カウンター越しにビールを注ぎながら、解説をしてくれました。

 「いますよ。
 本土のいのししよりは、だいぶ小ぶりですが
 ちゃんといます。」



 またぎも、ちゃんといますと笑っています。


 「みなさんは、誤解をしてます。
 小さな島の徳之島にも、山はちゃんとあります。
 それゃぁ、本土から見ればまことに小さなものですが・・」



 一杯どうですかと勧めると大きいのでいいかしらと、
小ぶりのグラスを、ちょこんと持ち上げました。
機転がききそうで、なかなか楽しいママさんです。


 いのししの肉質は小ぶりな分、よくしまって淡泊でした。
毎年罠を仕掛けて、いのししを捕えるそうです。
もちろん鉄砲で仕留めることもありますが、
年間に腕の良い猟師さんは30頭以上も捕るそうです。
捕えて肉にさばくだけではなく、島豚とかけあわせて「いのぶた」を
生産し始めたともいいます。



 「旦那さまは、徳之島で猟師と漁師をしています」

 
 と、嬉しそうに笑います。



 「わたしのわがままで、こちらにお店をだしたんですが、
 そろそろ亭主も歳なので、可哀想だから島に戻ろうかとも考えています。
 お店の「山くじら」(いのししのことを九州ではこう呼びます)も、
 お魚も、みんな亭主が、せっせとこちらへ送ってきます。
 わたしも、単身赴任に疲れましたし、
 そろそろ、潮時ですかねぇ~」


 と、目を細めてまた笑っています。
その笑い方と笑顔が(年齢に似合わずに、)とてもチャーミングです。
もう一杯、いかがですか、とビール瓶を持ち上げたら


 「そう?  じゃあそろそろ本気で呑もうかしら!」


 と、今度は大きなグラスを持ち上げました。
記念すべき本土上陸の最初の夜は、マタギのママとの愉快な出会いです。
しかし今夜はそれだけでは終わりません、ここからが
また別の出会いの夜になりました。
そのはなしは、また次回で詳しく・・・・