Twinkle Tremble Tinseltown 6
凍えた手から離れた紙は望みに反してその場に落ちることなく、地面を這うようにして彼から遠ざかっていった。勝手に読み取ったものを正しいと思えば、それこそ相手の思う壺だろう。乗っても乗らなくても馬鹿らしいことこの上ない。乗ってやる気にもなれない程彼のことを軽蔑していたのだとその時初めて気付き、ジョイは息を吐き出した。白い塊が顔へ押し戻される前に立ち上がり、空を仰ぐ。雪は近い。この街を出るまでもつか自信はなかったが、それでも彼は歩き出した。追い風に乗ってついてくる白紙の幻想を一蹴できる自らの心をしらじらと転がしながら。
作品名:Twinkle Tremble Tinseltown 6 作家名:セールス・マン