「仮面の町」 第十話
「読みましたよ。あんないい加減な返事の文章が届いたから、今のような気持ちになってしまったんですよ。元はといえば、あなたの対応がそうさせたんです」
「生意気な・・・とにかく捜査の邪魔を少しでもしたら公務執行妨害で逮捕する、それだけは覚えておきなさい!」
「そうですか・・・じゃあ逮捕されるようなことをしますから・・・洗面器と歯ブラシ用意して待ってます」
「堪えんやっちゃなあ・・・どこからそんな勇気が出ているんや?」
「正しい事をしろと親に言われて育ちましたからね。山崎さんは自分に恥ずかしくないですか?こんな若造に正義を問われて・・・」
「天木さん!正義?俺や警察に正義がないと思っているのか?」
「そうですよ。だって・・・うそつきじゃないですか!どこが正義なんですか?」
「事故を起こした犯人は逃げてしまったんだぞ。見つけられないのは恥だが・・・正義が無いと言われる筋合いは無いぞ」
「せめて被害者には真実を話して欲しかったです。いくらヘルメットなしで二人乗りをしていたからと言って一方的に悪いと決め付けてしまうことが許せません。ボクは言ったでしょ?信号無視をしたのは車の方だって・・・忘れたんですか!」
「・・・そんな事証明できんよ・・・」
「なんと言いました?いま?」
「お前の証言を証明できないって言ったんだよ!」
作品名:「仮面の町」 第十話 作家名:てっしゅう