蒼い空と爽やかな風
彼女はあの富士山へのドライブの日、菓子パンを持って出かけて来た。恐らく、看護師になるための実習が大変で、手作りの弁当など作る余裕はなかったのだろう。あの夏の日、頭上には蒼い大きな空が拡がり、爽やかな気持ちの良い風が吹き渡っていた。随分昔のことのようにも、つい最近のことのようにも感じられる想い出である。これから先の人生に於いて、私は何度もその日のことを思い出すことだろう。彼女も、私を思い出すことがあるのだろうか。
もう一度、彼女に会ってみたいような気もするが、会わないほうが良いのかも知れないとも思う。
了