アイラブ桐生・第三部 第三章 34~35
琉球王国といっても、彼らは日本人と別の民族ではありません。
本土の人間と同じ言葉や文化を持つ、同じ民族です。
ただ、日本列島からはるかに離れた場所にあったために交流が少なく、
徐々に個性的で独自の国家を形成していくようになりました。
1609年(江戸時代)になると、
かねてから琉球征服の野望をいだいていた
薩摩藩が沖縄を支配下に置くようになります。
1609年から1879年までの270年間は、沖縄の人々は
琉球王国と薩摩藩の両方から管理をされ、
重い課税が科せられました。
当時の琉球王国は、中国との貿易が盛んで、
そうした影響を色濃く受けながら、歌や踊りなどの芸能が発達をしました。
やがて明治新政府が成立し、明治4年に廃藩置県がおこなわれると
琉球国はいったん琉球藩となり、その後の明治15年に
沖縄県にかわりました。
これにより琉球王国は城(首里城)を明け渡たさなければならなくなり、
長年にわたった琉球王国が、ついに解体をされました。
(以上、当時の取材ノートより)
そして、1972年5月15日。
沖縄は戦後27年目にして、ついに悲願の本土復帰の朝を迎えました。
顔見知りとなったいつもの青年団員が、
記念式典の迎えに顔を出してくれました。
今日は復帰を記念してのセレモニーと集会が、
朝から盛りだんに予定されています。
朝からあちこちで、エイサーの太鼓も響いています。
「残念だなぁ、
それでは、3時過ぎならどうですか。
私たちも、2~3時間なら空きができますので、
また顔を出します」
そういうと彼は、忙しく走り去って行きました。
彼も今日は、あちこちに引っ張りだこです。
今日の本土復帰の様子を見届けたら、
明日は内地に旅発つつもりだと伝えたら
どうしても一杯呑みたいから、少しだけ時間を作ってくれと言われました。
優花と二人だけで、いつもの丘の上で一日を過ごす予定なので
「ずっと、あいている」とだけ答えておきました。
一年以上にわたった沖縄滞在の最後の一日になるので、
「どこへでも連れていくから、最後の希望を言え』と優花に訪ねたら、
いつもの、東シナ海が見下ろせる丘の上で過ごしたいと、
即答で応えます。
「セレモニーばっかりが目白押しの今日は、
どこに行っても人ばっかり。
その辺をあるいていたら、あの青年団員にも見つかるし・・
じ~としているのが一番かな~」
作品名:アイラブ桐生・第三部 第三章 34~35 作家名:落合順平