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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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切り取られた日付けの町

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ママの店に戻り壁を見ると
ハサミで切り取ってあったものは平成23年3月11日のカレンダーの日付であった。
酒場のママはハサミから何でも創れたのだ。
くるくると紙を動かしながら、人も建物も・・
「信じさえすれば命も・・・・・・・・・
与えられます」とママは言った。
田村が来た町は切り取られた3月11日の町であったようだった。
鏡のなかに写しとられた命はその世界で生きているのだろう。
田村が気が付いたのは妻の大きな声を聞いた時だった。
「よかった」
田村はこの世界がまだどこなのか解らなかった。