名前のない唄
大きな小鳥
幼い少年がいた。
その少年は何もない場所に立っていた。
空も、海も、陸も
何もない。どこまでも、どこまでも、何もない
少年は腰を下ろし、上を見上げた
やはり何もない。しかし、しばらくすると小さい点が現れた。
その点はどんどん大きくなり、少年の前に落ちてきた。
鳥だった。
少年の背丈ほどの、とても美しい鳥だ。
少年は、しばらくその鳥を見つめていたが、やがて会話を始めた。
「君は・・・どこから来たの?お名前はなぁに?」
返事がないまま少しの間が空いた。
しばらくしてその美しい鳥はとても低い声で話し始めた。