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雛結び

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「いつもそう言ってくれていれば勘違いなんかしないのに。毎日ずっと一緒にいるのに、私もだけど、言葉が足りないね。彩月は」
 呆れたように言いながら、私の頭を撫で回す。ああ、今日は一週周って幸せ過ぎるかも。
「今回の簪の意味も解ったよー。て言うか、教えてあげたの私じゃない。これは八年前かな?それも忘れていたでしょ?」
「うん、夜美から教えてもらったことはすっかり」
 もう幸せいっぱいなので、素直にスラスラ喋った。
「何ともね私の想いに反したおバカさんです事。もう今日はこの簪は彩月にさしてやる。結ったりなんかしないで超適当に」
 今日はもう、全部夜美に任せる事にする。私はもう幸せに浮かれすぎているので夜美のやること何でもオッケー。
「了解しました。夜美様の仰せのままに」
 窓の外は既に暗くなり、音だけが白い欠片の存在を私達に示していた。
夜美の音と混じり合いながら。

 しこたま二人でじゃれ合った後、夜美は起き上がって晩ご飯の用意をした。
それから、お雛様の前に戻ってきて、お内裏様と三人官女の真ん中の人形を入れ替えて言った。
「これも忘れてたでしょ?私のお雛様は、四年前からお内裏様の位置に女の子が入るの」
 これはちょっと思い出した。一昨年と去年はすっかり忘れて普通に飾ってしまったけど。
「どっちがどっち?」
 私がそう聞くと、夜美は悪戯っぽく笑いながら言った。
「私がお雛様に決まっているでしょ?彩月はお雛様に見初められた三人官女。お内裏様も両手に花だし、これで円満解決なのよ」
 なるほど、そこまでは私では思いが至らなかった。お内裏様の存在、完全に眼中に無かったよ。
感心した素振りでいると、夜美の声に良く似た、夜美よりも少し低い声が玄関から響いてきた。
「ただいまー」
 私と夜美は、二人争うようにかけて行って、夜美のお母さんをお迎えした。
『おかえりなさい』

 晩御飯の間、夜美のお母さんは私の頭に適当にさされた簪を、面白おかしそうに、不思議そうに見ていた。



BGM

うれしいひなまつり
血塗られたひな祭り/人間椅子
ふしぎデカルト/相対性理論
おはようオーパーツ/相対性理論
灰色の水曜日/TRIPLE H
          ARB
Private Girl/TRIPLE H
         ARB
作品名:雛結び 作家名:雨泉洋悠