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あみのドミノ

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亜美乃は私の会社の見習い社員である佐藤麻美の姉だった。残業で遅くなった麻美が私と一緒に会社を出たときに、「食事をしていくか」と誘った。麻美が「姉と会う予定がありますので」と言ったときに「じゃあ、お姉さんも呼びなよ」と成り行きからそう口に出た。しばらく考えるそぶりをみせたあと、麻美は姉に電話をして「OKです」と言った。

私は麻美に紹介された姉亜美乃を見て、
「えっ、お姉さん……、妹さんじゃ、ないよね」
そう念を押すように言って麻美を見た。

麻美はまたかあというようにイヤそうな顔をしたが、すぐに笑顔になって
「良く言われるんですよ。私ってそんなに老けて見えます?」と投げやりに言った。
「妹がお世話になっております」と亜美乃が丁寧にお辞儀をしたので、私も「あ、あ、よろしく」と言ってつられるように深くお辞儀をしたので、頭がぶつかりそうになった。顔を上げた時亜美乃が笑った。

私は吸い寄せられるように亜美乃を見た。顔の大きさの割にはちょっと大きめの眼はネコの眼のように少しつり上がっていてシャープな感じだ。亜美乃もじっとこちらを見ている。視線が離せないような気分だった。何か電波のようなものがこちらに向かってきて、こちらからも向かっているような気がした。その感覚は、はるか昔に味わったような気もした。私は50年以上生きてきたので、自分の娘より年下の女性に対する恋心のような気持ちを悟られないようにちょっと大きめの声で「さあ、何を食べに行こうか」と言った。

妹の麻美が「ほら、口の形はいっしょだけれど大きさが違うのよね」と姉と自分の違いを言うので、私は自然に亜美乃を色々と観察出来たことを幸運に思った。大雑把な向日葵のような性格の麻美、細やかで時に大胆、弱そうで強い意志の亜美乃。二人が共通して頷いたのは年上の男性の方がいいなあということだった。

作品名:あみのドミノ 作家名:伊達梁川