アイラブ桐生・第三部 28~29
ストリッパ―嬢が、悲鳴を上げて追われます。
立ちふさがれて入口への逃げ場を失ったために、
急きょこちらのテーブルへ方ストリッパー嬢が逃げてきました。
事態を見て、私も瞬時に立ちあがりました。
両手をひろげると、追われているストリッパー嬢を真正面から
しっかりと受け止めてしまいます。
しかしストリッパー嬢の強い勢いを止めることができず、
床へ転がりながら抱きとめたまま、さらに半回転をしてしまいます。
アッと思う暇もなく、そのまま追撃者には背中を
見せる形になってしまいます。
追いかけてくる黒人兵から見れば、
完璧にストリッパーを庇う形になってしまいました。
立ち上がりかけた瞬間、至近距離から黒人兵の強烈な
右フックが飛んできました。
左の頬に鈍い衝撃を感じました。
激痛を噛みしめながら必死でこらえた次の瞬間には、
もう反対側から黒人兵の左からのパンチが
飛んでくる気配が見えました。
ストリッパー嬢を突き離すように床に押し付けてから、
瞬間的に、黒人兵の左腕を下側から掴み取りました。
そのまま体制を低くして、突進してくる黒人兵の身体の下へ、
自分の身体を潜り込ませます。
背中にのしかかってきた黒人兵の右足を、もう片方の手で
しっかりつかまえると、そのまま、天井に向かって
全身で投げ上げました。
派手な音を立ててひっくり返った黒人兵は、
隣のテーブルごとそのまま通路へ真ん中へ倒れ込んでいきました。
もう一人の白人兵が、前蹴りのような形で真正面から
私に向かって飛びかかってきます。
左にかわして、身体を反転させながら、
ひじ打ちの構えをとって、さらに襲いかかってくる白人兵の
顔面を狙いました。
当たった瞬間には、充分すぎるほどの手ごたえが有りました。
白人兵が顔面を抑えてその場へ崩れ落ちていくのが、
動きの中で鮮明に見えました。
ふたたび立ち上がろうとしている黒人兵と白人兵の様子に、
静まりかけていた店内が、再び騒然となります。
なりゆきを見守っていた客たちが、一斉に叫び始めます。
作品名:アイラブ桐生・第三部 28~29 作家名:落合順平