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アイラブ桐生・第三部 28~29

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 封の切れていた日本酒の瓶が有ったので、
これもたっぷりと降り注ぎました。
柔らかくすることと、肉の匂い隠しにはうってつけの調味料です。
あとは刻んだ野菜たちに一気に火を通し、短時間のうちに
最大加熱で炒めあげるだけです。



 しかし棚に並んでいる、調味料がわかりません・・・・
全部が英語で表示してあるために、これがまったく読めません。
(残念ながら調理学校に、英語の科目は有りません、)
塩胡椒らしきものがあったので、それをたっぷりと振りかけてから、
そこにあった醤油だけで味付けをしました。
もともと肉にも野菜にも、特有の味がひそんでいますので
それらの味わいだけを上手く引き出してやることだけが、
実は調理人の腕前です。



 新鮮な野菜ならば、油と塩でも充分で、
肉も、塩とこしょうで充分です
余計なあじつけは、味を混同させてしまうだけで、
それぞれの素材のもつ美味しさを、封印してしまうだけです。
シンプル・イズ・ベスト、それが味付けの鉄則です。



 適当に作りあげてしまった、野菜炒めが大好評になりました。
いつのまにかお母さんの呼び方が、コックから
「板前さん」に変わっています。
しかし・・・・、野菜炒めは日本料理ではありません・・・・


 15歳のストリッパ―と出会い、
「板前さん」による中華料理で始まった、
このコザの滞在はこの先、1年ほどに至ります。
明日からでも手伝いにおいで、という優子のお母さんに見送られて
優花を自宅まで送り届けることになりました。
コザから少し南に下り、米軍のキャンプ場がほど近くに有る
海岸に面した小さな村に優花の自宅があるそうです。


 おばぁと二人だけで暮らしているという、その小さな家で、
私は生まれて初めて、戦争の体験者から、
壮絶をきわめた沖縄の地上戦の話を聞くことになりました。





アイラブ、桐生