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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「哀の川」 第二十六話

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「絶対にいや、離れたら純一さんに新しい彼女が出来ちゃうから。もてるんだもん、カッコいいし、頭いいし。嫌なの由佳は、離れるのが」
「駄々こねるなよ、子供みたいに・・・由佳より好きな女性なんか出来ないから。由佳こそ僕が神戸に行ったら、寂しさを紛らすためにだれか男の人が出来ちゃうかも知れないじゃない?」
「ひどい!純一さんって。そんなことするわけないじゃないの。初めての人なのよ、あなたは・・・」

話を小耳に挟んだ店長は数年前の直樹と麻子の会話をふと思い出した。親子って似るんだなあ、と可笑しくもあり、不思議な感じもした。自分の店が男と女の出会いの場所になり、愛を育む場所になることはこれほど冥利に尽きることはない、そう思いながらも、心配が先に立つ親心があった。もうそんな年になったんだと心の中では寂しくも感じていた。