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てっしゅう
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「ぶどう園のある街」 第六話

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第六話


「美也子・・・ありがとう、嬉しいよ。温泉に入れるなんて夢にも思えなかったからねえ・・・」
「うん、今日は絶対に大丈夫だと信じてきたから・・・お父さんも一緒に入れると良かったのにね」
「ええ?おとうさんと一緒にかい?」
「イヤなの?」
「そりゃ・・・恥ずかしいから」
「夫婦なんでしょ?そうなの」
「若くないからね。それにこんな身体だし・・・」
「だから一緒に入るんだよ。この次はそうしたら?探してあげるから、一緒に入れる温泉を」
「いいよう、そんなこと・・・それよりお前は結婚はどうなんだい?もう30だろう」
「来年30になるよ。早いねえ。あっという間だった・・・」
「すまないね。私のために人生の一番いい時期を棒に振っちゃって。もう構わないから好きなことしなさい。いい人見つけたら結婚しなさいよ。
女はね、子供生んで育てて、家族みんなで暮らすことが幸せなんだよ。一人で好きなことしていたってそのうち飽きるし、淋しくなるから」
「解ったから・・・結婚は考えてない。好きな人も・・・いないし・・・」
そういいながら、ちらっと高見のことを考えてしまった。