「仮面の町」 第七話
第七話
「あなたが恐れるのならこれ以上は頼まないわ。自分の身の上を考えて行動して頂戴」
「優子・・・危険を承知で天木さんと調べを進めるのね?」
「当たり前よ」
「どうして?」
「どうして・・・弘一が好きだからよ。誰よりも大切な人だから命を賭けるの」
「女なのに?」
「女だからよ」
「羨ましいわ、そんな想いになれるなんて、天木さんって幸せだわ・・・解った、調べてあげる。ただし今回だけにして。被害者の住所と名前だけよ。明日にでも電話するから待ってて」
「ありがとう陽子、助かった。恩にきるね」
「優子も変わったね・・・好きな人が出来るとそうなれるんだ。私も彼が欲しいわ」
「自分から言わなきゃダメよ。待ってたらいい人は通り過ぎちゃうから・・・解った?」
「そうね、そうする。じゃあ、明日」
「うん、じゃあ」
優子は陽子の気持ちに応えるべく絶対に事件の真相と犯人を公にしないといけないと誓った。そしてその事は弘一の思いと
同じだったので二人の気持ちはますます強い絆へと傾いていった。
作品名:「仮面の町」 第七話 作家名:てっしゅう