小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

僕の八代美

INDEX|3ページ/3ページ|

前のページ
 


八代美が笑っている。
僕はとても嬉しい。
八代美、僕の八代美。
僕だけの。

「ねぇ克彦」

八代美がさも愉快そうに僕を呼ぶ。僕しか知らないあのニュアンスで。

「何?」

「さよならね。」

え?

と言う間もなく八代美は消えた。
どうやら僕はフラれたらしい。
八代美は理由を聞くことすら僕に許さなかった。
ずるい。…そして随分と楽チンだ。

八代美はそういう女だった。

「克彦先輩」

みしらぬ女が立っていた。
何秒かたって同じ委員会にいたことに気付く。
八代美の様におよそ可愛いげのない目付きの女だ。
でも僕は

「何泣いてるんですか気持悪い」

でも

「君には関係ないよ」

僕は八代美が好きだった。多分想像以上に。


「…嘘です。可愛いです。」


女は白い肌を僕に向けて笑って言った。
でも透けてなどいなかった。


作品名:僕の八代美 作家名:川口暁