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電車で会った魔女

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電車のスピードが遅くなって、車内放送が、駅名を告げている。もうマコと別れる時間は迫ってきた。連絡先を聞こうとしたオレに、マコはちょっとだけ考えたあと、自分に言い聞かせるように一度頷いてから、こう言ったのだ。

「私の魔法が上達したら、きっとまた逢えるわ、きっとね。楽しい時間をありがとう」

駅に着いた。オレは「じゃあ、また」と言って電車を降りた。まだ名残惜しい気持ちで、電車の乗り降りが済んだ電車を見る。マコが微笑みながら小さく手を振った。オレも手を振る。

あっという間に電車は去って行って、オレは急に寒さを感じ、ちょっと前までの甘く暖かいものに触れた時間が少しずつ消えてゆくような気分になった。

夢をみていたのかなあという思いを打ち消すように、確かにあの時間はあったのだと、最初から想い出しながらオレは改札に向かって歩き出した。


(終)
















作品名:電車で会った魔女 作家名:伊達梁川