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小早川たき
小早川たき
novelistID. 36004
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猫と箱と水

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箱の中に猫がいる。名前はまだない。
どうせあなたは、生きているとか死んでいるとか言いたがるんでしょうけど。
箱は水で満たされています。
猫は死んでいる。
猫は魚じゃないですから、猫は死んでいるのです。


おかしな人。
どうして今更、猫に名前を付けたがるんです。
どうして箱を、大事にかかえているんです。
放っておくのはかわいそう?
やさしい人。


いつか高いところへ上る時、箱を踏み台にするんでしょう。
そうして高いところへ上ったら、猫の名前を称えるんでしょう。
「ああミケ、君のおかげだありがとう!」
美談ですね。


箱に水を注いだのは誰なのか、忘れたわけではないでしょうに。
作品名:猫と箱と水 作家名:小早川たき