ナマステ!~インド放浪記
うど十字架の形に背中にべったりと付いたのです。・・・不吉だ。
それから、工場内のほかの設備を見学されてもらったのですが、皆、物珍しそう
に私の十字架を見るのでした。イスラム教の国、インドで異教の黒い十字架を背
負う謎の東洋人。はい、それは私です。
やっと仕事が終わり、結局午後6時ごろ、ハマちゃんの運転するオンボロ車でホ
テルへと向かいました。
(体はズタズタ、喉はカラカラ、はやくプハーっってやりたい!)
チェックインを済ませ、ついでに汚れた作業服をクリーニングサービスに出し、
荷物はボーイに部屋まで運ばせ、部屋に入ることなくホテルのレストランへ直行
しました。
ベンガルさんは、一張羅のスーツを汚したくないらしく、「おてもやん」のまま
でレストランに入って行きました。「なんか、カッコ悪いなぁ」としきりに自分
の姿を気にしておりましたが、バスローブの時は何故気にならなかったのかが不
思議です。まぁ、いずれにしろ、バスローブで来られるよりはましです。
「たらこ」を見せられることも無いですし・・・
「かんぱーい! お疲れ様でした!!」
やっとの事で待望のビールに有りつくことが出来たのでした。お酒の進むこと進
むこと! あっという間に出来上がってしまいました。
さあ、明日が本番です。
インド人はとにかく無理難題を言って来るということをゴリさんから聞かされて
いたので、否が応でも緊張します。
「わーっはっはっは!」
「おてもやん」スタイルのベンガルさんが突然立ち上がり、両手を挙げたかと思
うとそのまま後ろにひっくり返りました。その後、ゴリさんと二人でベンガルさ
んを彼の部屋まで担いで行きました。
「こいつ、虎だな。いや、ベンガル虎だ。たちが悪い。」
ゴリさんがボソっとつぶやきました。
(ゴリさん、うまい!!)
明日はきっと上手くいくでしょう。だって、私には虎とゴリラという最強のメン
バーが付いているのですから。
作品名:ナマステ!~インド放浪記 作家名:ohmysky