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（ここが噂の場所か）とオレは、その造形美に見とれた。緩やかに包み込むような曲面で構成された数個の物体、それが集合してパラボラアンテナのような形になっている。そしてちょっと官能的に感じるピンク色が新しい出会いに相応しく思えた。

まだ早春で肌寒さを感じていたのだが、中に入るとふわっとした温かさがあって、オレはあらためてこの場所を眺め回した。緩やかな曲面が淡い太陽の光を集めて反射させ、暖かくしているのだろう。黄色の塔のようなものが立っているのが見えた。その下は細い路地が入り組んでいるグルメ横丁だ、ここにいても食欲を誘ういい匂いがする。これは女性向きかもしれない。なるほど、さすがにカップルのできやすいと噂の場所だ。この匂いだけでも来たかいがあったというものだ。

おいしそうな匂いの場所に背中を向けて、オレはポツリポツリと集まってくる女達の品定めを始めた。あれは好みではない。あれもダメだ。ありゃ、あんなブスがもう男に声をかけられている。ふん！　ブスはブス同士くっつけばいい。

それにしても、これはという女が集まってこない。ただ食事に来ただけというのが多そうだ。当たり前か……オレはだんだん自分が浅ましい男に思えてきた。