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ウエツグ上次
ウエツグ上次
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おかしな話たち

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『缶の箱』
昨日、お月様を見ていたら僕を馬鹿にしたようにニタニタ笑っていた。
僕が睨んでもお月様は相変わらず馬鹿にしたように笑っていた。
僕はむかついたが無視することにした。
けれど、星も一緒になってにたにたにたにた笑うので、僕のむかむかは一向に収まらなかった。
しょうがないので、僕は家から網を持ってきて星とお月様を捕まえた。
それらを缶の箱に詰めて冷蔵庫に入れておいた。
朝起きて冷蔵庫を開けると缶の箱の中にひとつのクッキーとたくさんのコンペイトウが入っていたのでそれを食べた。



『見たのは』
黒猫を見かけた。緑の眼をした猫だった。
また、同じ猫を見かけた。
ふと、辺りを見回した。
どうやら黒猫はガラス窓に映った私だったようだ。



『信号と影』
真っ赤な信号が交差点を照らす。
何もかも真っ赤に沈めて夜を照らす。
歪な僕の影がただ一人。
真っ黒な僕の影がただ一人。
ぽっかりと浮かんでいる。



『リンゴのマーク』
あのリンゴは誰がかじったのだろうか。
リンゴをかじった彼が知恵をつけ数々のアイディアを生みたしたのだろう。
かじられたリンゴは今ここにある。

みんなのアイディアのもとになっている。



『antares』
昨日の夜中、友人が赤い蠍の心臓を拾っようで。僕はどんなものかと見せてもらいに行った。
彼は鞄の中から蠍の心臓をとりだした。
僕は「毒があるから気をつけないと」と言った。
彼は「毒があるのは尾の方だ」と言った。
僕が蠍の心臓を受け取ると、突然「パチン」と真っ赤に燃えて空に飛んでいってしまった。
赤い蠍の心臓は深い黒の夜に浮いていた。
作品名:おかしな話たち 作家名:ウエツグ上次