茶房 クロッカス 番外編
ママは棚からお皿を取り出すと、わたしの目の前に置いてくれた。
「はい、どうぞ」
「わぁ〜い! スィートポテトだあ!!」
今日のおやつはわたしのだぁ〜い好きなスィートポテトだった。
ママはケーキやお菓子を作るのがとっても上手で、大抵いつも仕事の合間にわたしのおやつを作ってくれている。
だからわたしは幼稚園から帰って来ると、何よりもこのおやつが楽しみなんだあ!
わたしのママは、この店でおじいちゃんを手伝いながら働いているの。
「沙耶ちゃん、お客さんだよ」
おじいちゃんがママを呼んだ。
「はぁーい、今行きます」
ママがわたしを見てクスッと笑った。
ママがお店の方に行ったので、わたしは調理場の丸イスに腰掛けて、お皿のスィートポテトを頬張った。
「おいしい〜! やっぱりママの作るおやつは最高だなぁ」
わたしは嬉しくなって、ひとりでにこにこしながら食べた。
そしてスィートポテトを食べ終わると、調理場の片隅に掛けてあるキティちゃんの絵が入ったエプロンを手に取って、自分の腕を通し、後ろでひもをリボンに結ぼうとした――けど、やっぱり今日も上手く結べない。
「う〜〜ん、難しいなぁ……」
仕方なく諦めて、ママに結んでもらうことにしたわたしは、そのままの格好でお店に行き、ママを呼んだ。
「ママ〜〜! 結べないよぅ〜。お願い結んでぇ」
「あらあら、やっぱり今日も結べなかったのね。仕方ないわね」
そう言いながら、ママが後ろで可愛くリボンに結んでくれた。
「さあ、これでOKよ。ちぃママちゃん今日も頑張ってね!」
ママが指でOKサインを作って、ニコニコ顔でそう言った。
「はぁーーい! がんばりまーす!」
幼稚園から帰っておやつを食べると、こうしてエプロンをしてお店のお手伝いをするの。
そうすると、おじいちゃんが目を細めて喜んでくれるんだあ! うふっ。
作品名:茶房 クロッカス 番外編 作家名:ゆうか♪