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茶房 クロッカス 番外編

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『茶房 クロッカス』
 その店の前まで来ると、ようこ先生はわたしに言った。
「ルイちゃん、おうちに着いたわよ!」
 わたしは幼稚園バスの中で、座席に座ってウトウトしていたみたい。
 先生の呼ぶ声で目覚めると、ようこ先生の顔が目の前で笑っている。
「あら、オネムになっちゃったのね。さあ、おうちに着いたから降りましょうね」
 そう言った先生はわたしを抱っこすると、そのままバスの外まで行き、ようやくわたしを降ろしてくれた。

「せんせい、ありがとう」
「はい、ルイちゃんはおりこうさんだね。じゃあご挨拶しましょう」
「せんせい、さようなら」
 わたしは黄色い幼稚園帽子を手にとって、きちんとお辞儀しながらそう言った。
 そして、すぐにそのドアを目指して駆け出し、ドアの前まで来てもう一度バスを振り向くと、先生がわたしの方を見て手を振ってくれた。
 わたしは先生に小さく手を振り返し、そのままドアを開けて中へ足を踏み入れた。

 カラ〜ン コロ〜ン♪

 ドアに取り付けられたカウベルというものが賑やかに音を奏でた。
 わたしはこの音を聞くのが好きで、以前は何度も開けたり閉めたりしては、おじいちゃんに怒られたりしたっけ。
 だから今は、お利口なわたしとしては、音を聞きたいのはグッと我慢してそんなことはしないようにしている。だってもう、ルイは幼稚園生なんだもん。

「ただいまぁ〜」
「お帰り〜ルイ。今日も楽しかったかぃ?」
 おじいちゃんが嬉しそうに笑顔でそう言った。
「うん、今日も楽しかったよ! ママは?」
「あぁ、今……」
 おじいちゃんが言いかけたところにママが奥から出てきた。
「あ、ルイちゃん、お帰り。今日も楽しかった?」
「うふふ……。ママもおじいちゃんと同じことを言うんだ」
「あら、何のこと?」 
 ママが首を傾げてわたしを見た。
「な〜いしょ!」 
 わたしはそう言って笑った。

「――さあ、手を洗っておやつにしましょう」
 ママはそう言いながら、わたしの肩からたすきに掛けた幼稚園バックを脱がせるように取ると、奥へと誘〔いざな〕った。
「はぁ〜い! ママ、今日のおやつはなぁ〜に?」
 わたしはワクワクしながら尋ねた。
「うふっ、それは手を洗ってからのお楽しみ!」
 ママは時々意地悪なことを言う。

 わたしは急いで手を洗った。
「ほら、ママちゃんと洗ったよ」
 そう言って両手を裏返してママの顔の前に差し出して見せた。
「はい、よくできました!」
「じゃあ、おやつおやつ〜〜」