トレーダー・ディアブロ(7)
「そう言う事だな。しかし、良いのか、ディアブロ?いつもの様に俺はファンドの販売をしているだけで、運用にはノータッチで分からないと答えたが……。あの勢いだと、やつらお前の所にも間違いなく来るぞ?」
「ああ。それで良い。あんたにはニューワールドの運用と無関係でいてもらわないと困る」
西京はそう言って、ポンとエンターキーを叩いた。
すると、プラネタリウム中のチャート画面が消えて、ウインドウズのシャットダウン画面があちこちに現れた。そして、暗かったドームに電気が付いた。
グレリアがその様子をキョロキョロして見ていると、ガラスの球体の上半分が自動的に開いた。
そして、その中から西京が出てきた。何度見てもロボットのコクピットに見える。
西京はふうと大きく息を吐いて言った。
「今日の分の利益はもう稼いだ。飯にしようぜ、ホルヘ!」
どうやら今日も西京のトレードは上手くいったようだ。
この日、彼らは昼間からロサンゼルスのダウンタウンに繰り出し、酒を飲んで騒いだ。
西京はこの日、珍しくよく笑い、よく喋った。
そしてこれが、グレリアが西京の姿を見た最後の日となった。
作品名:トレーダー・ディアブロ(7) 作家名:砂金 回生