Life and Death【そのよん】
それからしばらく、大沢かなめちゃん失踪事件は当人の死体発見という展開ゆえに朝の情報番組を席巻した。
早朝、ジョギング中の老婆が毛布に包まれた大沢かなめを発見し、通報。彼女の胸部は切開され、心臓が抜き取られていたという。その猟奇性から異常犯の犯行と目されたが、事件は急転、臓器売買ネットワークの存在が明るみに出ることとなった。その結果、それに関わった組織が一斉検挙、平成以後最大の大事件となり、しばらくワイドショーのネタはこればかりであった。
ただ、これはオカルト的な話になるが、どうやら彼女は心臓を抜き取られてしばらくの間生きていた形跡があるという。そして、これはその事件に関わった逸品だとかなんとか。
佐佐木原金太郎はその商品をねめつける。
イモータルの心臓と呼ばれるオカルト品だ。まあ、真偽の程は知らない。ただ、コレを移植すれば不老不死に成れるという。問題は、不老不死の副作用が非常に強烈だからオススメはしないとかなんとか。
その効能には興味がない。これがイモータルの心臓だから意味があるのだ。
佐佐木原はその心臓が入った瓶を置くと、再び祭壇を拝み始めた。
やはりこのアパートは本物だ。このイモータルの心臓が手に入ったのもこのアパートに入ってからだし、そのアパートそのものも、ここ数日血を流した。これは一層励めというこのアパートに存在する何かの意思なのだろう。
「かすかなるたまよ。
我が名佐佐木原金太郎也。
うつしよとかくりよを交差し、ひとあおくさどもを
いちだんたかい、神なる存在に近づけんと欲する者也。
ここの空間にある結界の裂け目を通り出で
我と交わりうつしよとかくりよを共に突き抜け
神なる存在に遭わせ給え……っ!」
男の祈りは続く。
作品名:Life and Death【そのよん】 作家名:最中の中