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20日間のシンデレラ 最終話 私の本当の気持ち…

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永遠にも似たような静かな時間がどこまでも流れる。

          ×           ×           ×
      
突然、独り言のようにつぶやく花梨。

花 梨  「思い出した……」

体を震わせ、涙を堪えながらも陸の方を見る花梨。 

花 梨  「私の本当の気持ち……」

下を向いたまま動かない陸。

花梨からもらったミサンガをじっと見つめて固まっている。

何かを訴えかけるような目で陸の方を見る花梨。
 
不安そうな声で、        

花 梨  「ねぇ……シンデレラの一番最後のシーン覚えてる? 王子さまが硝子の靴を履かせてシンデレラを探すんだよね…………硝子の靴じゃないけどさ……陸……私の質問に答えてくれないかな?」

ゆっくりと花梨の方を見る陸。

真剣な表情。

少し経って、恐る恐る切り出す花梨。

花 梨  「…………直方体を求める公式は何?」

沈黙。

いつの間にかあたりは明るくなってきている。

ジャングルジムも、鉄棒も、砂場も。

ずっと暗くて見えにくかったものがほんのりと光を浴びて少しずつはっきりとしてくる。

近くでうっすらと聞こえてくるすずめの鳴き声。

陸の口元が動く。

  陸  「たて×横×……」

びくびくとさらに体を震わせる花梨。

何かに怯えるように下を向いてしまう。

唇をかみ締め、陸の返事をじっと待っている。

その様子を見ている陸。

しばらく経って花梨の前にゆっくりと手を差し出す。

その手は握手を求めるように少し開いている。

驚いて陸の方を見る花梨。

まるで十年前のあの頃のような笑顔を花梨に向けて、

  陸  「気合だろ?」

花梨の目から涙が流れる。

そして差し出された陸の手を握る花梨。

朝礼台の上に腰掛けている二人の後姿。

隣にいる陸にしか聞こえないぐらいの声でつぶやく花梨。

花 梨  「……馬鹿」
                  
二人の視線の先、小学校の側にある住宅街の上からゆっくりと朝日が顔を覗かせる。
     
辺りはオレンジ色に包まれ、陸と花梨の後姿が次第にシルエットになっていく。
            
  陸(語り)「やっと……見つけた……」

花 梨(語り)「これが本当の……」 

景色も人もまるで全て一つに染まっていくような幻想的な光景。
      
しっかりと繋がれている花梨と陸の手。
      
  陸  花梨(語り)「(二人同時に)自分なんだ」 

    ――完――


ご愛読ありがとうございました。
「20日のシンデレラ」なのですが実はこの物語に沿った音楽があります。
僕のブログでの最終話で曲と歌詞を見る事ができるので、よかったら遊びに来てください。

「いつかの秘密基地」
http://itsukano-himitsukiti.blog.so-net.ne.jp/

あとよろしければ、どんなことでも結構ですので、参考の為にこちらまで感想を頂けると嬉しいです!
kandosaseru.geijutsuwo@docomo.ne.jp