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５０．ふけさん

『明日、公園に集合しろ！』


　川島君からのメールを見て、私は思わず頭を抱えた。

　どうするや、おい。

　カエデさんは店長殴るし、川島君は私を束縛しようとするし、8月31日は『暗黒豆腐少女』のデビューライブがあるっていうのにハルカとかいう女と会えって言うし、ってかそもそも8月31日にライブできるかどうかも怪しくなってきたし、カエデさん店長殴るし、喫茶『パンヌス』は何故か休業中で使えないし、カエデさん店長殴るし、市役所の仕事も忙しいし、カエデさん店長殴るし、カエデさん店長殴るし、喫茶『パンヌス』のマスターはまだ意識が戻らないし、カエデさん店長殴るし、賄賂をわたしたお客さんからゆすられるし、カエデさん店長殴るし、今週のジャンプ買ったら合併号で先週と同じものだったし、カエデさん店長殴るし…………。

「うぼぉおおああうう！！」

　私はついに発狂しそうになった。しかし、寸でのところで踏みとどまることが出来た。それは、たくさんある嫌なことを吹き飛ばしてしまえるような、とても良いことがあったからだ。人間、何か一つでも良いことがあれば、何とかやっていけるものさ。

　私はそんなことを考えながら携帯をかまい、嫌なことから逃避した。