カシューナッツはお好きでしょうか?
40.カエデ
『♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪〜』
「すごい! これ、すごくいいメロディーだよ! 誰に作ってもらったの?」
私はふけさんが持ってきたカセットテープの音源を聞いて、興奮した。アイドルらしい、ポップでキュートなメロディー。私は、一聞で心を奪われた。
「いや、その……と、友達に作曲家がいてね……」
「なんて人? 一度お会いしたいなぁ」
私はこんなステキなメロディーを作れる人に会ってみたいと思った。
「いや、それはちょっと難しいかな……」
「えー、なんで! いいじゃん! 友達なんでしょ?」
「う、うるさい! そんなことよりも、問題は歌詞だよ歌詞! 歌詞をこれから僕達で作らなくちゃいけないんだからね」
ふけさんは少し怒ったような口調でそう言うと、原稿用紙とボールペンを取り出した。
「はい、これ使って。とりあえず、一人で考えてみて。私も考えておくから。明日またここに集合ということで。それじゃ」
ふけさんは約2週間後に控えた『暗黒豆腐少女』デビューライブ関係の仕事がたくさんあるらしく、そそくさと帰り支度をした。そして、去り際
「『暗黒豆腐』を必ず歌詞の中に入れてね〜。それじゃ」
と言って、喫茶『パンヌス』から出て行った。
作品名:カシューナッツはお好きでしょうか? 作家名:タコキ