カシューナッツはお好きでしょうか？
１５．ふけさん
「あのカエデさん？ もしかして、それ全部買うんですか？」
カエデと名乗る少女は、買い物カゴに服や雑貨をどんどん入れて行く。
「当然よ」
「お金は……」
「は？ あんたが払うに決まっているでしょ」
「でも……」
「何？ あんた私のような可憐な少女の夢とファーストキスを奪っておいて、何様のつもり？」
「……申し訳ありません」
「ほんとうなら、警察に行ってもいいんだよ？ 『変態に襲われました！』って泣きながら交番に駆け込んであげようか？」
「……勘弁してください」
「これでチャラにしてあげようっていう私の寛大な心に感謝しなさい。あ！ これもかわいい。買っちゃおうっと！」
「…………グスン（涙）」
私は涙をこらえながら、少女のショッピングに付き合った。
作品名：カシューナッツはお好きでしょうか？ 作家名：タコキ