カシューナッツはお好きでしょうか?
エピローグ
〜エピローグ〜
やぁ、読者諸君こんにちは。この物語の主人公、ふけさんこと田中敬一です。さて、この物語もついに終わりを迎えたわけだが、どうだったかな? プロローグで言った通り、「読まなきゃよかった!」と後悔しているのではないだろうか? ふふふ、もう遅いのだよ! 君はもう、ここまで読んでしまったのだからな。まさか、途中の話をすっ飛ばして、エピローグだけを見るというモノ好きではあるまい。……ん? 話が長いって? はやく物語の続きを言えって? そうだな、私の無駄話はこの辺にして、“あのあと”何があったのかをお話ししよう。まぁ、私は気絶していたので、詳しいことは知らないのだが、まぁ大体こんな感じだ。
「やめて!! お願い、ふけさんを離してぇええ!!!」
「舞茸! お前のせいで俺は全てを失った!! 死ねぇ!!」
「カエデさん!! やっぱり私我慢できません!! 社長さんを賭けて勝負です!!」
「ハルカちゃん、待ってぇ〜!! 君は俺が守るから!!」
私が意識を失った後、松原がやってきて舞茸さんを殺そうとした。そして、そのすぐ後に、ハルカ君がやってきて、それを追う様に川島君も喫茶『パンヌス』にやって来た。
どうやら松原は舞茸さんに復讐しようと後をつけていたらしい。ハルカ君はカエデさんが私に告白するのがやっぱり許せなかったらしく、それを阻止しに来たらしい。そして、川島君もハルカ君を追って来てたのだという。こうして、見事喫茶『パンヌス』にこの物語の主要人物がそろったのだ。
「松原邪魔するなぁ!! 俺はこの男を排除している最中なんだよ!!」
「うるせぇ! お前を殺して俺も死ぬんだぁ!!」
「カエデさん! もしかして、もう告白したんですか!!」
「お前何やってんだ!? 敬一から離れろ!! 首から手を離せ!!」
もう、ここからはめちゃくちゃだったらしい。
「きゃあああああああああ!!! 社長さん!! 目を覚ましてください!!」
「こ、こら! 暴れるなぁ!!」
「くそ、離せ! 離せぇええ!!」
「舞茸えぇえええ!!」
「私人工呼吸します!!」
「それはだめ!!」
「カエデさん邪魔しないでください!!」
「おらぁ! 喰らえぇ!」
「ぐへぇ! 痛てぇなこの野郎!!」
「お前たち二人とも大人しくしろ!! とりあえず、署まで来てもらうぞ!!」
「人工呼吸は私がする!!」
「いや、私がします!!」
「こら!! そこ二人も喧嘩しない!! とりあえず、救急車呼んで!!」
「……わかった。今救急車呼ぶから……あっ! ハルカ何してんのよ!! 離れなさい!!」
「カエデさんよりも先に、私キスしちゃいましたね」
「ハ、ハルカちゃん……い、今……き、キスしたの!? あはははは……」
「ちょっと! 川島さんしっかりして! 倒れないでよ〜!」
結局、松原と舞茸さんは警察に捕まり、私は救急車で病院に運ばれた。私は何とか一命を取り留め、今に至るというわけだ。
「ふけさん、お見舞いに来たよ」
「やぁ、カエデさん。いつもすまないね」
カエデさんと私のその後は、まだこれから。
「ふけさん、目をつむって」
「な、な、もしかして……」
だから、もう話すことはない。
「いいから、はやく!」
「は、はい!」
一つ言えることは、今この瞬間、きっとこの二人は幸せで、
「おりゃああ!」
「ぶへぇ!! げへぇ! ごほぉ、ごほぉお。何だこれは?」
この先もきっと幸せで、
「ふふふ、お見舞いのシュークリームよ! どう? おいしい」
「うまいわけなかろうが!」
そんなことに気がつかないまま、
「チュ!」
「な、な、な、な、なにすんの!?」
年をとり、
「私はただ、シュークリームを食べたかっただけ。勘違いしないでよね」
そして、いつの日にか今日と言う日を振り返り、その時初めて幸せだったと思える。そんな日々を、私は今確かに生きているということだけだ。
喫茶『パンヌス』の、二代目マスターとして。
―――終わり
ご愛読ありがとうございました。
作品名:カシューナッツはお好きでしょうか? 作家名:タコキ