「ぶどう園のある街」 第二話
「今は・・・無理ですね。介護士になる勉強も忙しいし」
「介護士になるの!素敵ね。これからはきっと大切なお仕事になってゆくわよ。頑張ってくださいね」
「はい、では母が心配しますので、失礼します。ショコラちゃん!長生きしてね」
美也子がそう言うと尻尾を大きく振りながらワンワン!と二度吠えた。頭を撫でられて、さようならをする後姿をじっと見つめながら悲しそうな目をしていた。
「ショコラ・・・あなたも寂しいのね。でもいいじゃない、好きだった人に出会えて・・・また会えるわよ、長生きしようね」
今度は飼い主の雅子に向ってワンワンと二度吠えた。解ったと言いたかったのだろうか、それともありがとう・・・だったのか。
作品名:「ぶどう園のある街」 第二話 作家名:てっしゅう