ワタシとアキ
「連絡先、携帯に残しておいていいかな、このまま別れるのも淋しいし」
とアキに返信すると、アキは
「勿論。いつかお互い落ち着いたら、ナホも誘って飲みに行こうよ。2人が嫌じゃなければだけどさ」
と返信をしてきた。
嫌な訳ないじゃないか。
ワタシはたった3日間でアキとナホの事が大好きになっていたのだ。
だから仕事を辞めるというメールを送ったのだ。
ただの同期で、あまり話もしないままだったら、わざわざメールを送ったりしない。一緒にいたのはたった3日間だ。
たった3日で、くだけてプライベートの話までするようになったのに、一緒に仕事ができないまま別れる事になったワタシとアキと、その2人のささやかな嘘の為に、ワタシは物語を紡いでもいいのではないかと思った。
誰かに宛てて、気まぐれに手紙を書くように。
だからこれは、気まぐれな手紙のプロローグだ。
いつかナホがでてくるかもしれない。
ワタシとアキがいつ次の仕事に就けるかわからない。
「3人で会う」というエピローグまで、ワタシはこのワタシとアキを軸にした手紙を、誰かに送り続けたいと思う。