変身は突然に!
俺は、目覚めた。ここは…。フカフカ…。ベッドか!?
「起きた?」男の声が横でした。さっきの店の人か。
「悪いな。迷惑掛けた。勘定はどうした?」
「払ってきたわ。急にカウンターにパタリだもの、びぃーっくり!」
女も居るのか?だが、見渡す部屋にも、ベッドにも居るのは、俺とこの男だけ。
「素敵に格好良かったわ。とっても男らしくて。好きになりそうだったわ」
俺は、まだ酔っている。悪夢を見ているぞ。
男がいる。しゃべってるぞ、女が。
少しずつ、状況が理解できる。なんてことだ!
「ねえ、ここに連れて来てあげたお礼して」
俺は、咄嗟に財布を捜した。その手を止められると顔が目の前にあった。
「キス・・・して」
「だって、もうばれてるでしょ。俺のこと」
「キスして。あの店ですぐわかったわ。だから声掛けたんだもん」
俺は、彼女らしき男の唇に触れた。
「駄目。お店のときみたいに、もっと男らしく、ね…」
こうして俺は、男をすることになった。
今日も力仕事をする彼女と待ち合わせている。
― おしまい ―