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茶房 クロッカス 最終編

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「京平、何てお久し振りでしょう、あなたから手紙をもらうなんて……。
 私が最後の手紙を出してから、もう三年近くが経ちましたね。
 正直、この手紙を出そうかどうしようかとずいぶん悩みました。
 でも、やはりあなたと同じ、私も自分の気持ちに嘘はつきたくなかったので本当のことを書きます。
 以前京平に話したAさんには確かに一度は抱かれましたが、その一度だけでお別れしました。
 最後の手紙には「何度か肌を合わせれば……」などと書きましたが、その一度だけで『この人のことはきっと愛せない』と感じてしまったので、数日後にお断りしました。
 その後も数人の人から交際を申し込まれたりもしましたが、やはり私には京平のことしか考えられないので、その度にお断りしました。
 私って馬鹿ですね……。
 京平からの手紙、本当に嬉しかったです。その夜は、涙が拭いても拭いても零れてきて眠れませんでした。
 京平、もし今でも本当に、こんな私のことを想っていてくれているのなら、すぐにでも逢いたいです。待っています。         
               今でもあなたのひまわり娘  京子より」

 もう一度手紙から顔を上げた時、涙でボロボロになっていたのは俺だった。
 京子ちゃんは、俺が読み終わって泣きながらもいつものOKサインをしたので、安心してその手紙を早速投函しに行った。
 やっと京子ちゃんにも幸せが来るのかと思うと俺は嬉しくて嬉しくて、いつまでも泣くのはみっともないと分かってはいるのにぐずぐずと鼻をすすってしまい、沙耶ちゃんに冷笑された。
「お父さん、気持ちは分かるけど、いつまでも泣いてたらおかしいわよ」
「あぁ」
 そう答えてまたティッシュで鼻をかんだ。
 沙耶ちゃんだって、本当はさっき裏に隠れて泣いてたのを俺は知っていたけど、わざと何も言わないでおいた。
 後は京平からの返事を待つだけだ。
《早くその日が来ればいいなぁ〜》
 そう思って数日が過ぎた。
 沙耶ちゃんもきっと同じ思いだったろう。