茶房 クロッカス 最終編
カラ〜ン コロ〜ン
「やあ、いらっしゃい。京子ちゃん」
京子ちゃんはなぜか嬉しそうな顔で、何かを大切そうに胸に抱き締めている。
「いらっしゃい。京子ちゃん」
沙耶ちゃんも声を掛ける。
「こんにちわ。悟郎さん、先輩」
「何だか今日は嬉しそうだね」
俺が京子ちゃんの顔を見て言う。
「うふっ、分かる?」
京子ちゃんが恥かしそうに笑った。
「その笑顔の原因は、胸に大切そうに持ってる、その封筒かぃ?」
そう言いながら、彼女の手にしている封筒に視線を注ぎ、
「誰からの手紙かなー?」と、にやりと笑った。
「――実は、京平からの手紙なの」
「えっ! そりゃあ本当かぃ?」
「ほらっ、見て」
そう言った京子ちゃんは、その白い封筒を俺に見せた。
確かに表には京子ちゃんの名前、そして裏には京平の名前が書いてあった。
「京子ちゃん、これ……」
俺が戸惑っていると、
「中も読んでみて」と、京子ちゃんが嬉しそうに言う。
「いいのかぃ?」
俺の問いに京子ちゃんはしっかり頷く。
「分かった」
俺は覚悟を決めてその手紙を封筒から出し、広げていった。
そこには初めて見る京平の文字が並んでいた。
作品名:茶房 クロッカス 最終編 作家名:ゆうか♪