アイラブ桐生 序章 1~3
それ以降、特になにごともなく中学にすすみ
それなりに、異性に関する興味も出て来てこの女子のグループ内でも
男子に関する噂がチラホラと始まりました。
レイコが誰それからラブレターをもらったということで、
有頂天になって喜んでいたのも、丁度この頃の出来ごとした。
機嫌を良くしたレイコが、
『あなたも誰かとつき合えば、あなたはやんちゃだから、
M子みたいなタイプが似合いだわ」と勝手に世話をやきはじめました。
それが中学2年の時のことで、こうして私はレイコの仲介で
M子と正式に付き合うことになりました。
順調に(?)交際をすすめていましたが、
お互いの高校進学を機に、会う回数も一緒に居る時間も
極端に少なくなり始めました。
私にしてみれば、柔道と演劇と言う相反する二つのかけもちの部活動で、
多忙を極めただけの話ですが、共通の友人であるレイコがまた、
ここでも気を揉み始めました。
高校へ進学してから2カ月ほどたったある日、
レイコから電話がかかってきました。
「至急の用事があるから、明日の通学時に、
桐生駅の北口にまで来て。」と、命令半分に呼びだされました。
身に覚えが無いまま、言われた通りにわざわざバスを乗り換えて、
桐生駅の北口へ出向きました。
バス停には、笑顔のレイコと、
少し緊張気味のM子の二人が立っていました。
「別にこれという、用事はないけれど久しぶりでしょう。
たまには、3人で歩きましょう。」
というだけで、そのくせレイコは二人を置いて
さっさと先を急ぎます。
ちょうど通学の時間帯ということもあって、それぞれ電車が着くたびに、
たくさんの高校の制服が、一斉に山の手通りを歩きはじめます。
なるほど、これなら目立たないと言う訳か・・・
そんな風に納得をして、それから三人で歩く
日課が始まりました。
しかし三人ともが、それぞれ別の高校です。
そのうち、いつのまにかレイコ姿が消えてしまいました。
制服が夏服に変わるころには、あたりまえのように
M子と二人きりが定着をしました。
中学時代から高校にかけての私は、勉強はそこそこに放課後ともなると、
柔道部と、演劇部をかけもっていた文武両道の美少年でした!
そこのあなた。今、クスッと笑いましたね!
特に柔道は、
「どうせやるなら、本格的に徹底してやれ」
というオヤジの武道好きと、独自の教育方針のために、
汽車で40分もかけて、県都・前橋市の道場まで通う羽目になりました。
当時まだ、小学校の3年生だったと思います。
柔道着を担いで、一人で数年間にわたり前橋の道場まで通い続けました。
柔道は、礼に始まって礼に終わる武道ですが、私の初恋もまた、
いつの間にかはじまったものの、柔道によって終わる事になりました。
せっかくの、通学時の山手通りでの語らいも、
1年も持たずに終わることになります。
私の柔道熱が、埼玉県にある名門の強豪道場へと飛び火をしまいました。
柔道のみ選択して、埼玉にある伯父の家へ居候をしながら、
高校生活の残りの2年間を、柔道三昧で過ごすことになってしまいました。
無事に卒業をして、やっと桐生に戻ってきたころには、
すでに初恋のM子さんには、
留守中に)別の男の子が存在をしていました。
この時にまた・・・
仲介役のレイコが、誕生日用に買ったプレゼントを届けてくれることなりました。
小学校に入る前から、初恋のM子さんと、
このおせっかいなレイコはいつも仲良く一緒に居ます。
やがて短大に進学したレイコとは、そのまま音信不通になりました。
風の噂では、保母になると決めたようですが
楽器演奏が大の苦手で、ピアノに苦戦しているようだという、
そんな噂も聞きました。
(へぇ~、あいつ、保母志望なんだ。)
私のやんちゃ時代の物語は、実は、この「おせっかいな」レイコと、
偶然に数年ぶりに、再会するところからはじまります。
(4)へつづく
作品名:アイラブ桐生 序章 1~3 作家名:落合順平