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アイラブ桐生 序章 1~3

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 この路地を、桐生芸者も歩きます。
置き屋が一件だけあり、10名近い芸妓が籍を置いてます。
日中を浴衣姿の芸妓が歩き、正装をした男たちが黒塗りの乗用車で
「桐生クラブ」に乗りつけて豪勢な食事をしてから、
日暮れと共にネクタイを緩め
割烹や小料理屋が立ち並ぶ、飲み屋街の路地に消えて行くのです。

 それが仲町という歓楽街の、ごく当たり前の光景です。
この街の人々が織りなした古い歴史と、
長年続いてきた機織りの機械の音がすべてそのまま、
私の「ゆりかご」でした。


 1970年代に入ると、経済が急速に成長を始めます。
田舎の町にも、勢いに乗ってさまざまな使い捨て文化と、
大量消費と言う波がやってきました。
学生と高校生の多い桐生には、学生運動や安保闘争などという
時代の波までも、ついでに押し寄せてきました。


 平穏に暮らしてきた若者たちの間にも、
こうした時代の波が静かに浸透をはじめました。
やがて、戦争を知らない世代が、安保闘争に立ちあがります。
政治の深淵をよく理解しないままに、若者たちが熱病のように
首都・東京へ連日、抗議のデモ行進に押しかていくようになりました。


 そんな時代を背景に、私の青春の「放浪」が始まります。
最初のやんちゃは、「家出」です。
しかしそこの説明に至るまでに、
ず私の初恋の話から始めたいと思います。

私にとって欠かせない、永遠の人・・・・
レイコを最初に紹介したいと思います。