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杉が怒った

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豊田は、自分の体験が単なる偶然かもしれないと思い始めてきた。あの赤い杉花粉の写真があるわけではないし、杉花粉に毒を持つ新種ができたかもしれないというのは想像し過ぎかもしれない。そう自分を納得させようとしたが、杉の花の赤い花粉の色を思い出すだけで、あの嘔吐感と頭の重さを思い出して気分が悪くなった。

どこかに自分の見たことを報告したほうがいいのだろうか。豊田は電話帳を開いて、工事の事務所がいいかなと思ったが、業者の名前は知らない。東京都だろうか、何課だ? 杉の花粉が赤くて危険ですと言えば、適当にあしらわれて切られてしまうだろう。豊田は電話帳をめくって最後のほうにあった《官公署ページ》で、また迷ってしまった。どこに電話する? 内閣府? 総理大臣室? 総務省かな、公害等調査委員会というのがある。しかし杉花粉は公害か? 厚生労働省か? 環境省か? とても自分の意見を聞いてくれるとは思えなかった。豊田は電話帳を閉じた。

豊田は、登山口駅近くで工事の反対運動に署名したことを思い出した。それをもっと知りたいと思いインターネットで調べることにした。


作品名:杉が怒った 作家名:伊達梁川