とどろく閃光
登場人物
主人公 緑園子 高校2年生 バトミントン部 成績はまぁまぁ上位、スポーツもまぁまぁできて、顔もわりとかわいいほう。でも、性格が少しキツイ。くどい性格で、おせっかい。
姉は才媛で、美人。有名企業のOLで、園子の憧れの存在。
ACT1 幽霊屋敷
高校2年の夏休みだ。いちばんいい頃。学校にも慣れてるし、受験勉強も本格的に始めるのは3年からでいいし。女性ばかりの兄弟の次女、末っ子の園子はさほど親からも期待されていない。姉は才媛で美人、頼れる性格で園子とも仲がいい。
園子の部屋は二階の和室。ベッドに座ってちょっと鏡を見てみた。
んー。メイクすればたぶん美人
夏休みなので髪はちょっとパーマをあてて縦ロールにしてみた。お姫様風に。これでロリータファッションでもしたら完璧なんだろうけど、アニメキャラのTシャツだ。ちょっとちぐはぐ。
姉の龍香はスーツでキャリア系に決めていて、髪型もアップにしている。でも園子はそういうビジネス戦闘服は苦手。
ところで
姉がどういう仕事をしているか、園子は全然知らなかった。最近学校生活も落ち着いてきて、たまに聞いてみるのだけど。
いずれは園子もふつうのOLを目指しているので、教えてほしいのに何かはぐらかされてしまう。
姉の龍香は学校の成績もトップで目立っていた。有名大学にも入り、園子も両親も、当然キャリア官僚か、大手企業社員なのか、いずれは目指すのかと思っていたのだけど。
確かにあまり知られていない食品系企業には入ったのだけど、営業職で全国を飛び回っているとかで、ほとんど家にいない。たまに会っても仕事の話は出ず、だんだん園子も両親も不信に思ってきていた。
それまでは仲良しで何でも話してきたのに。
社会に出たらそういうものなのかなぁと思いながら、この夏休みこそ姉が何をしているのか秘密をあばきたいと園子は考えていた。
姉が何をしているかわかるような、ちょっとした証拠を園子は押えていた。
ある住所が書かれた紙切れ。
園子が大好きなミステリーで読んだことがある。千切られたメモ帳の残った表面に、切り取られた前の紙にボールペンで書かれた跡の一端が残っていて書かれた文字がうかがえるという話。
園子はメモ帳を取り出した。
姉はこの一週間出張で留守で、その間に本を借りようと入った姉の部屋で見つけたものだ。その表面に、住所が書かれていた。
その住所は園子が昔行ったことがある場所だったので、断片的にしか残っていなかったのだけど、すぐにわかった。
あの幽霊屋敷の住所だよね。
7歳ぐらいのころ、園子は姉と、姉の友達たちと数人で遠出したことがあった。ハイキングだったのだけど、印象的な出来事があって、それは忘れがちな子供の頃の思い出の中でも今でも鮮明に思い出せる。
古びたアイビーが這う壁の家。屋根は切妻で、たぶん瓦の色は昔は赤だったと思われる。ところどころにレンガ色が残っている。
その家の周りは深い森のように高い木が生い茂って、家をほとんど隠しているのだけど、ちょうど屋根裏あたりにある高窓だけが見える。
園子や姉たちはその家の周りでハイキングをしていたのだけど、姉たちが話している間に園子はその家の庭にひとり入り込んだ。
人影が見えたからだ。それも子供。
7歳の園子とちょうど同じくらいの背丈だったと思う。
姉たちは高校生だし、園子はひとり子供で、だいぶ付き合うのに飽きてきた。園子は人見知りはしないほうだ。いつもどこかで遊び相手をすぐ見つける。
遊んで~
ぐいぐい園子は人影が消えたほうに近づいていった。
追いかけっこ?鬼ごっこ?
小さな子供の声が聞こえた。
鬼ごっこだ!
園子は大声を出して走り出した。
笑い声が響く。
はっとわれに返った。すっかり思い出に浸っていたけど、園子は高原行きバスに乗っていた。
主人公 緑園子 高校2年生 バトミントン部 成績はまぁまぁ上位、スポーツもまぁまぁできて、顔もわりとかわいいほう。でも、性格が少しキツイ。くどい性格で、おせっかい。
姉は才媛で、美人。有名企業のOLで、園子の憧れの存在。
ACT1 幽霊屋敷
高校2年の夏休みだ。いちばんいい頃。学校にも慣れてるし、受験勉強も本格的に始めるのは3年からでいいし。女性ばかりの兄弟の次女、末っ子の園子はさほど親からも期待されていない。姉は才媛で美人、頼れる性格で園子とも仲がいい。
園子の部屋は二階の和室。ベッドに座ってちょっと鏡を見てみた。
んー。メイクすればたぶん美人
夏休みなので髪はちょっとパーマをあてて縦ロールにしてみた。お姫様風に。これでロリータファッションでもしたら完璧なんだろうけど、アニメキャラのTシャツだ。ちょっとちぐはぐ。
姉の龍香はスーツでキャリア系に決めていて、髪型もアップにしている。でも園子はそういうビジネス戦闘服は苦手。
ところで
姉がどういう仕事をしているか、園子は全然知らなかった。最近学校生活も落ち着いてきて、たまに聞いてみるのだけど。
いずれは園子もふつうのOLを目指しているので、教えてほしいのに何かはぐらかされてしまう。
姉の龍香は学校の成績もトップで目立っていた。有名大学にも入り、園子も両親も、当然キャリア官僚か、大手企業社員なのか、いずれは目指すのかと思っていたのだけど。
確かにあまり知られていない食品系企業には入ったのだけど、営業職で全国を飛び回っているとかで、ほとんど家にいない。たまに会っても仕事の話は出ず、だんだん園子も両親も不信に思ってきていた。
それまでは仲良しで何でも話してきたのに。
社会に出たらそういうものなのかなぁと思いながら、この夏休みこそ姉が何をしているのか秘密をあばきたいと園子は考えていた。
姉が何をしているかわかるような、ちょっとした証拠を園子は押えていた。
ある住所が書かれた紙切れ。
園子が大好きなミステリーで読んだことがある。千切られたメモ帳の残った表面に、切り取られた前の紙にボールペンで書かれた跡の一端が残っていて書かれた文字がうかがえるという話。
園子はメモ帳を取り出した。
姉はこの一週間出張で留守で、その間に本を借りようと入った姉の部屋で見つけたものだ。その表面に、住所が書かれていた。
その住所は園子が昔行ったことがある場所だったので、断片的にしか残っていなかったのだけど、すぐにわかった。
あの幽霊屋敷の住所だよね。
7歳ぐらいのころ、園子は姉と、姉の友達たちと数人で遠出したことがあった。ハイキングだったのだけど、印象的な出来事があって、それは忘れがちな子供の頃の思い出の中でも今でも鮮明に思い出せる。
古びたアイビーが這う壁の家。屋根は切妻で、たぶん瓦の色は昔は赤だったと思われる。ところどころにレンガ色が残っている。
その家の周りは深い森のように高い木が生い茂って、家をほとんど隠しているのだけど、ちょうど屋根裏あたりにある高窓だけが見える。
園子や姉たちはその家の周りでハイキングをしていたのだけど、姉たちが話している間に園子はその家の庭にひとり入り込んだ。
人影が見えたからだ。それも子供。
7歳の園子とちょうど同じくらいの背丈だったと思う。
姉たちは高校生だし、園子はひとり子供で、だいぶ付き合うのに飽きてきた。園子は人見知りはしないほうだ。いつもどこかで遊び相手をすぐ見つける。
遊んで~
ぐいぐい園子は人影が消えたほうに近づいていった。
追いかけっこ?鬼ごっこ?
小さな子供の声が聞こえた。
鬼ごっこだ!
園子は大声を出して走り出した。
笑い声が響く。
はっとわれに返った。すっかり思い出に浸っていたけど、園子は高原行きバスに乗っていた。