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ハードボイルド

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【にんじん】と【じゃがいも】も網で掬われた。
そして、また器の中で再会した。
あちらの方で『チン』と音がした。そこに居たやつが器にやってきた。

「よっ!久し振り。オレだけ電子レンジでサウナしてきた。この深緑の皮と繊細な肉が
崩れないようにとさ。もうみんな揃ってるのかい?」

「ええ。【かぼちゃ】の『パンプ=キンさん』はいつから?」

「キャロちゃんがみんなと話してるのを、向こうで聞いてたよ」

「そう・・・お声をかけてくだされば宜しかったのに、びっくりしましたわ。お会いできるなんて。なんて素敵な日でしょ」

【じゃがいも】がちょっぴり拗ねた。角がぽろりと欠け落ちた。

「これは、みなさんお揃いで。今日は、異質の私ですが、ご一緒させていだだきます」

くっきりと白い環に包まれた濃厚黄色の紳士の登場です。

「あら、いつもと少しお姿が違うような。ごめんなさい、わたくしの思い過ごしでしょうか。
お堅い感じ」

「どうなんでしょう?ワザとか、忘れていたのか。きっとみなさんとご一緒するときに
お衣裳を汚さない為だと思いますよ。ははは、ちょっと【ハードボイルド】な私もいいでしょ、キャロットさん」

「はい、素敵です。『堅ゆでたまご』・・・白身と黄身がしっかり凝固してとても紳士的・・・」

また【じゃがいも】の角がちょっぴりぽろりと欠け落ちた。

作品名:ハードボイルド 作家名:甜茶