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ハードボイルド

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【にんじん】【じゃがいも】【ブロッコリー】【カリフラワー】は皮を剥かれたり、包丁で
ひとくちの大きさに切られたり、大きめの鍋にみんなで混浴。
この主人は、ずいぶんと大雑把な人のようだ。
水が、湧き上がり湯になる頃、仄かにだいだい色に染まってきた。

「キャロットちゃんにならないかなーぼく。それともブロッコリーみたいな緑かも」

「だって、この主人たらみんな一緒だもの。仕方ないわよ」

「あれ、キャベツは?カリフラワー」

「ブロッコリー、あそこだよ。水浴びしただけで、ガラスの器の中だ。今日はそのままか・・・」

「エッグ氏は、小鍋に入ってる。温泉に浸かっているみたい。気持ち良さそうですね」

「キャロットちゃん、ぼくたちそろそろ出るみたいだ。じゃあまたあとで」

【ブロッコリー】と【カリフラワー】は網で掬われていった。
ホカホカと湯気を上げ、綺麗な艶が出ていた。

「ぼくは、最後までキャロットちゃんと居るよ。こんな広いところにキャロットちゃんだけおいていけないよ」

「ポテト君って優しいのね。カレーに居てもすぐに姿消しちゃうし、軟弱なのかと思ってた。
ごめんね。これからもよろしくね。あ、エッグ氏が・・・今日は長めだったけど大丈夫かしら」

慌てたように小鍋を流し台に置き、水シャワーをかけた。
「ポテト君、ポテト君、大丈夫?」

「うん・・・たぶん。でも体が緩くなってきたみたい。もつかなー」

作品名:ハードボイルド 作家名:甜茶