夜の学校
「おにいちゃん、あそぼう?」
僕を真っ直ぐ見つめてくる。
身長は俺の半分くらい。いや、もう少しあるか。
昼間であればとても愛らしいであろうその子も、今はこの世ならぬ雰囲気を漂わせていた。
男の子と対峙している間にも、背後の亡霊は距離を縮めてくる。
「――くっ」
俺は仕方なく、右手にあった階段を駆け上がった。
段差を上ると無駄に体力を消耗するからあまり使いたく無かったのだが、前と後に進めない以上こうするしかない。
そして階段を上りきると、すぐ隣にあったトイレに逃げ込んだ。
個室の扉を閉じ、鍵をかける。
もう逃げ場は無い。