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さよならしよう

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 一年かけて、僕らは全くの他人になった。友達以下になったのだ。ようやく、晴れて、念願の、赤の他人に。彼女は僕と居るより、遥かに伸び伸びとしているように見えた。そして、よくある自問自答もないまま、僕らは春を迎えて大人になり、彼女は大学生、僕は社会人になった。
 彼女の近況を知る術はないが、昔より綺麗になっていることは間違いないだろう。女は知らない間に一番成熟する生き物なのだ。僕の中ではそうなっている。
 いまだに、あの時の判断は正しかったのかと思い悩むことがある。今更悩んでも、彼女はもう振り向かないのに。僕が手放した。陽だまりみたいに笑うあの顔が、僕は本当に大好きだったのだ。
 ―やはり諦めず、ちゃんと向き合って正式に付き合っていればよかったのか?
 分からない。
 ―あの時の僕は気が違っていたのか?
 やはり分からない。
 でもどちらにせよ、何にせよ、叶うはずがないのだ、こんな恋愛。そもそも僕の勘違いかもしれないじゃないか。好きなんて感情は不確かなものだし、あれだけ拒まれることも求められることもない恋愛なんて、骨が折れるだけだ。
 これでよかったのだ。素敵な子なら腐るほどいる。





 でもやっぱり彼女みたいな人には、もう二度と出会えないのだろうなぁ…。
作品名:さよならしよう 作家名:もの