読み違え&萌え心を揺さぶるシリィズ
読み違えドイツ詩妄想仕様・その5〜Was will die einsame Trane?
** 本作は『女学校』シリーズの『乙女の祷り』に掲載していました **
『乙女の祷り』では聖書が話の中心だった為、イメェジしていたハイネの詩を載せることができなかった。
でも「本編に織りこめずとは、なんたる無念よヨヨヨ…」と袂で貌をおおってしおらしく引き下がれるような《ノベリスト.jp内にドイツ詩を普及させる会》(非公認・非公式・総会員数1名)会長ではない。
以下が、その詩である。
なにゆえに落つる涙ぞ?
涙ゆえわが眼(め)は曇る。
こはまこと旧(ふる)き涙、
わが眼の底にいと永く溜まりし涙。
この涙かずかずの姉妹らを待ちたれど、
姉妹らは早やすでに散りゆきぬ、
愁いゆえ、はた悦びゆえに
流れ落ち、闇と風とに散りうせぬ。
悦びを、はた悲しみを、われに与えし
かずかずの青き瞳の星々も
霧のごとくに
消え散りぬ。
さて我が恋の思いすら
風のごと、虚しく消えつ。
永く残りてとどまりし、寂しき涙
今は流れよ!
※片山敏彦氏訳『ハイネ詩集』(新潮文庫)
私の脳がぴくりと反応したのは第二連だった。《姉妹》という表現。上級生と下級生との間で結ばれる秘めやかな関係(=エス)にぴったりじゃないかと。
続く《散る》という表現では、お姉様の卒業によってその甘やかな契約が否応なく解消されてしまう哀しき未来を暗示してるのだと。
もう絶対そうに違いないと。それしか考えられないと。てゆーか、その自信はどっから湧いてくるんだと。根拠は、なんなんだと。そんなのアレに極まってるではないかと。
…妄想、万歳。
作品名:読み違え&萌え心を揺さぶるシリィズ 作家名:夏生由貴