既望ホウ
探査機の帰還まで後数十分、という頃合いだ。彼らは携帯の電波を維持するべく、相変わらずその場に留まっていた。
お調子者のツイートは、何とケータイサイトのトップニュースに載るまでになっている。
●●近海では、“不景気の世を救わんとする神を捜す会”なるオフ会で、各地から人が集まっているようだった。
「『現在、この情報の発信源を調査中です。』だってよ」
「凄ぇ。本当に、ネットの情報の拡散速度には感服だよな―――って、発信源調べられてんじゃねーか!どうするよ!?」
男達は半ば焦っていたが、もう半分は心底楽しんでいるようだった。
「んじゃ、もうアレしかねぇだろ!」
「良いのか?-------まあどのみち、そろそろだしなぁ。」
「オッケー、投稿するぞ。『この情報を流した者だが-------』んで、画像も-------っと」
そうして―――ヘリの上から壱万円札を大枚ばら撒いている写真が、まさに●●近海、帰還する探査機の周回する北緯××度に海上停泊する船の上から、世界に発信されたのだ。