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恋色季節

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「さむ…」

「寒いぃー…」

吐息は白い霧となり、空へと消えていく。

あたしは今、理央にデートの帰りで家まで送ってもらっている。

最近週末にはいつもふたりで出掛けている。

面倒くさがりでテニスバカな理央。

しあわせなんだけど…それとともに、凄く不安が押し寄せてくる。

考えすぎ…かな?

「あ、」

「…?」

理央が疑問符を浮かべる中、私はニヤリと笑う。

「明日、理央の誕生日だねっ!」

「…あ」

今思い出したような声をあげる。

「…あのさ」

「ほ?」

「…女子とかってフツー先にクリスマスイブって言わない?」

あ…

「そーいえばそだった…」

「ま、嬉しいけどね」

そういって理央に頭を撫でられた。

「お祝い何がいいかな…」

ワクワクしてにやけが止まらない。

「変な顔」

「そら理央君のお顔には劣ります」

「まあね」

「いやそこは否定しろ?」

やっぱ、考えすぎか。

「ヘーイおかえりピンク色の紗希ちゅわーんっ!」

「いえ、黄色人種ですけど。」

「いやぁ、そこはあえて受け流そうよー」

「…ハッ」

「……っ!!
マミーッ!!!この人鼻で笑ってくれたーっ!!」

リビングへ全力疾走する心優。

元気すぎてウザイなって思うこともあるけど

何かといって、真っ先に元気付けてくれるんだよね

あたしは、心優ちゃん…あなたに99%感謝のキモチを抱いています。

残り1%は…

「紗希っちのバーカッ!!」

「散れよ」

殺意です。

ひとり自室に戻る。

寒いな…

ふと目をやって、視界に入ってきたのは携帯

電話…してみよ

寒さに比例して、なんだか、心まで寒くなってくる。

幸せなはずなんだけどな…

プルルル…

コール音がやけに長く感じる。

プツ…

『もしもし…紗希?』

「やっほ理央君!愛しい紗希ちゃんからのお電話だぞっ」

『……』

「ねぇ、そーやってあからさまに引くのやめない?」

突っ込みないとかなりツラいんですが…。

ねぇ?痛い子じゃんよ。

『で、用は?』

「用がなかったらかけちゃいかんのかコラ」

『…寂しいなら素直にそう言えばいいじゃん』

「…」

ニヤリと口角の上がった声色がきこえてくる。

言い返せない自分がくやしい―…。

『そんなに俺が好きなんだね。照れるじゃん』

「アンタの自意識過剰は尊敬もんだな」

もう7時か…。

「理央、今何してんの?」

他愛もない話をふっかける。

なんだか、理央と出来るだけ話をしたかったんだ…。

作品名:恋色季節 作家名:紗智