恋色季節
「ねぇっ!!起きて!!起きてくださーいっ!!」
紗希の額には冷やせを超えたモノが浮かんでいた。
「んっ・・・」
少年は気だるそうに起き上がり紗希を見つめた。
一瞬
その綺麗な瞳に、見入ってしまった・・・。
しかし、すでに限界の限界を超えている紗希はすぐに我に返った。
「ここは誰?!私はどこ?!」
「は?」
大きい目を更に広げて異生物でも眺めるように紗希を睨む。
「まず落ち着いてよ・・・
意味わかんない・・・」
そう言ってバツが悪そうに私を睨む。
その鋭い瞳にたじろぎ、少し冷静さを取り戻した。
「トイレ!!トイレはどこですかっ?!」
「は?」
今度は呆れたように疑問符をうかべる。
「トイレならあの角曲がって・・・」
「あーっ!!分かんないっ!!案内して下さいっ!!つかしろっ!!」
既に自分を失っている紗希は、教えてもらう立場ということを忘れているようだ。
そのまままだ眠そうな少年を拉致し、トイレに案内してもらった。